凍りの掌 シベリア抑留記

今日は、先日から気になっていたこの本を買って、読んでみました。

凍りの掌

作者の父親が戦後、シベリアに抑留された体験を漫画にしたものです。絵は女性らしい優しいタッチですが、内容は凄惨です。

作者の父親は、満州に向かわされたのですが、1945年8月9日、日ソ中立条約を無視し、極東ソ連軍が突如侵攻してきます。8月16日、停戦命令。日本軍は、ソ連軍によって武装解除されます。「ダモイ(帰国)」と言われ、喜んだのもつかの間、行き先は、シベリアのキヴダ収容所。零下30度にもなる極寒の環境の中、冬服もなく、食べるものもわずか、過酷な労働を強いられることになるのでした。一人、また一人と仲間が死んでいく中、明日は我が身かと思う。作者の父親もついに肺炎になり、生死をさまよいますが、奇跡的に回復し、その後も、いくつかの収容所に入れられます。収容所ではソ連軍による共産主義教育により洗脳される者も出てきて、同じ日本人を「天皇の手下!」「資本主義のまわし者!」と糾弾し、吊し上げ、私刑・体罰がなされていきます。対象者は、階級が上の者・将校・憲兵・終戦前豊かな暮らしをしていた人々、そして知識者・教育者にも広がっていきます。中国がやってきた文化大革命やチベット、ウイグルに対する侵略行為のやり方と酷似していると思いました。これが、共産主義というものなんですね。恐ろしいです。やっと帰国してからは、この記憶を胸の奥にしまい込み、思い出すことをしようとしなかったそうです。

日本人が決して忘れてはいけない67年前の真実。ぜひ一人でも多くの方に読んでいただきたいです。

2013-05-15 | Posted in No Comments »