死刑執行人サンソン

久しぶりに、衝撃的な漫画を読みました。パリで代々、死刑執行人を務めるサンソン家四代目当主シャルル・アンリ・サンソンを題材にしたものです。


イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)

人々から死神と忌み嫌われ、しかしそれでも死刑執行人は世襲制のため、その運命から逃れることができない一人の無垢な青年。
あまりにも残酷で、先日私が見た「人を食べる夢」と同じような後味です。夢が現実を引き寄せるのか、現実が夢を引き寄せるのか、なんとも不思議ですが、先日の夢とのつながりを感じました。

ところで、この漫画は、こちらの本を出典としています。


死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

死刑執行人は、普通の人間には耐えきれないような重荷を背負って職務を遂行しなくてはならないのです。敬虔なカトリック教徒であり、国王を敬愛していたにも関わらず、国王と王妃をはじめ、犯罪人とされる人たちを殺さなくてはならなかった主人公シャルル・アンリ・サンソン。誰でも、自分の手で処刑なんかしたくない。しかし、法の名のもとに、誰かが職務を遂行しなくてはならない。そのことであまりにも重すぎる人間としての罪を、死刑執行人は一人で背負ってしまうのです。

また、それまで残虐な拷問や処刑がなされてきたため、フランス国民は、死刑囚に無益な苦しみを与えないように迅速かつ確実に死に至らしめる機械「ギロチン」を作り出します。それが人道的な方法だと考えたのですが、ギロチンはあまりにも簡単に人を殺すことができる機械でもあったため、後に大量に人が処刑されてしまうことになってしまいます。

シャルル・アンリは、死刑制度が廃止されることを願っていましたが、フランスで死刑制度が廃止されたのは1981年。彼が亡くなって、175年後のことでした。

死刑制度について、考えさせられる内容でした。

2013-06-26 | Posted in No Comments »