父のこと

父と私の地獄めぐり

先週の木曜日の夜から体調を壊しまして、

23日(金)と24日(土)、お店をお休みさせて頂いてました。

それまでピンピンしていたんですが、

以前、ブログでも紹介したことのある胡椒餅を買って

食べたところ、なんか固くなっていて、

全然、おいしくなかったんですね。

「おかしいなぁー、以前、食べたのと別物になってる。

もう二度と食べない!」

と言ったら、華陽園の中国人スタッフの一人が、

「あそこは今、売上が悪いから、売れてないのを

何回も温め直して出してる」

と言うではないですか!

そう、以前、食べたときは、パン生地がフカフカで

肉汁もジュワーッと出てきたんですが、

今回のは、固くて肉汁は出ないし、どうりでおかしいと思った!

それから3時間くらい経ってからお腹が痛くなり、

早めに帰らせてもらおうと思いましたが、

気持ち悪くて、「うーん、うーん」と唸るばかりで動けません。

しばらくして胡椒餅を吐いたら、やっと少しラクになりました。

それから家に帰りましたが、家に着くまでに2回も

駅のトイレに駆け込み、嘔吐しました。

家に着いたら、ストーブの前でガタガタ震えるばかりで、

何もできません。

熱を測ったら、38度1分。

その晩、熱はさらに上がって、39度近くまでになり、

一晩中、高熱にうなされていました。

翌日は、仕事を休んで、最寄りの救急病院へ。

診断は、「ウイルス性腸炎」ということでした。

点滴を受け、入院するかどうか聞かれましたが、

それほどではないと思ったので、家に帰りました。

おかゆさんを作って食べ、薬を飲んで、やっと熱も下がりました。

翌日も、本当はお店が忙しいので、休みたくなかったのですが、

もう少し胃腸を休めたいのと、頭痛もひどかったし、

ウイルス性なので人にうつすと申し訳ないということもあり、

お休みすることにしました。

休んでいる間、ずっと思っていたのは、先日亡くなった父のこと。

癌性腹膜炎で亡くなったのですが、とくに今年に入ってから、

父はどんなに苦しかっただろう。

どうして、私はそばにいてあげなかったのだろう。

ということを、ずっと考えていました。

2~3日、ウイルス性腸炎になっただけでも、

下痢や嘔吐、腹痛、高熱で、こんなに苦しかったのだから、

父は、どんなに苦しかっただろう。

おかゆさんを作っている時、そして食べている時に

感じたのは、生きることへの執着でした。

食べるということは、生きる喜びであり、

意欲であるのだと思います。

それができずに、長い間、点滴のみの栄養補給で、

父は、どんなにつらかっただろう。

父は、入院中、よく母にワガママを言って、

「あれを買ってこい、これを買ってこい」

と言っていたようです。

アイスとか食べたり、牛乳を飲んだりしていた様子。

入院する前も、自分で食べ物をすりつぶしたりして、

なんとか食べようとしていたようです。

亡くなる1週間くらい前に、末期のガン宣告を受けましたが、

三女から聞いた話では、父はお医者さんに、

死ぬ前にスキヤキを食べたいと相談していたそうです。

そして、どうやらスキヤキのスープとかを

飲ませてもらっていたらしいのです。

父の容態が急変したのが、午後2時過ぎ。

それまで安定していたのに、腸が破けてしまったのです。

もしかして父は、午前中かお昼に何か食べたのでは…。

その時間帯、家族は父のそばにいませんでしたから、

事実はよくわかりません。

でも、明日は私が帰ってくるし、私に元気なところを

見せようとして、もしくは前祝いのつもりで、

何か口にしたのでは…。

私は、ウイルス性腸炎で苦しんでいる最中、

そんなことを、ふと思いました。

「急に痛くなるには、何かきっかけがある」

と、感じとったからです。

父は死んでからも私にいろんなメッセージを

与えてくれました。

私が父の訃報を聞いて実家に帰る時には、

「パイノパイノパイ」のメロディーを。

棺の中から「おかえり」という眼差しを。

自責の念にかられる私に、死ぬまで私がプレゼントした

部屋着を着ていたことを、私がその部屋着を手にとることで

知らせてくれたし、マーガレットの花と一緒に写った

父の写真を遺影として私に選ばせたのも父だったと思います。

亡くなって10日後、夢うつつの状態の私に、まるで

「久美子、もう行くぞ」と言うみたいに、私の右肩をトントンと

叩いたのも、父だったと思います。

全部、偶然じゃないと思います。

苦しんでいる最中でひらめいたこの直感は、

もしかして間違っていないかもしれません。

今回のことは苦しかったけれど、父の苦しみのほんの一部だけでも

追体験することができ、私にとっては意味のあることだったと思います。

2012-11-25 | Posted in 父のことNo Comments »