カナリア

そういえば、23日は命日でした

ふと思い出した。

ボニーのための鳥かごを買った9月23日は

10年間、私のそばにいてくれた手乗りの白文鳥

リーノの命日だった。

もうかなり前のことになるが、

10年間やってきた芝居をあきらめて

失意の底に沈んでいた私が、人にすすめられて

生後１ヶ月の手乗り文鳥のヒナを飼うことにした。

それが、小鳥に夢中になった始まり。

それから、その姿の美しさにひかれて

細カナリア２羽も飼い始めた。

カナリアは、素晴らしい歌声を聴かせてくれた。

ちょうどリーノがさえずりを覚える時期だったので、

リーノは、カナリアのさえずりを覚えてしまった。

カナリアに比べると、文鳥の声は大きくなく、やわらかい。

それから１０年間、本当に美しい歌声を何万回も、

そして小さい体なのに、あふれんばかりの愛情を

飼い主の私にふり注いでくれた。

メスの文鳥も２羽飼ってみたが、

すでにリーノにとってのパートナーは、私だったので、

他の文鳥をすべてライバル視してしまい、

攻撃してしまう始末。

リーノは、まるで恋人のようだった。

こうして１０年間、リーノは私の心を支えてくれた。

私はリーノのことを頼りにしていた。

絶対に死んでほしくなかった。

リーノが亡くなる５ヶ月前、鳥かごの上に

白いフクロウとイタチが止まっている夢を見た。

鳥かごの中にリーノはいなくて、

リーノの姿を探しているところで目が覚めた。

リーノを飼ってから、６羽の小鳥たちを飼ったが、

リーノが一番最初に私の所へ来て、

一番最後に逝った。

亡くなる日、私は占星術の勉強を一生懸命

やっているところだった。

一つの夢をあきらめ、私が次の夢へ向かおうとするのを

見届けることが、彼の使命であったかのように。

リーノが亡くなってから、小鳥を飼う気にはなれず、

ずっと飼わないできた。

それでも、時折、文鳥たちが見せたかわいらしい仕草を

思い出すだけで、幸せな気分になれた。

どんなにつらい時も、小鳥たちのことを思い出すと

私はにっこり幸せな気分になれるのだ。

小鳥を飼い始めてから、寝ている間に起こる

不思議な感覚や奇妙な体験がなくなった。

私にとって、小鳥は何か精神の安定をもたらすもの

なのかもしれない。

去年までは、数ヶ月に１回くらい、リーノと夢の中で

会っていた。　とても幸せな感覚。

目が覚めると、リーノが死んでしまったことに気付き、

がっかりする。

それでも、今年に入ってからは見てなかったから、

そろそろ次の鳥を迎える時がきていたんだろう。

小鳥を飼うのは、３年ぶりだと思っていたが、

よく数えてみたら、４年ぶりだった。

これも、何かの縁なんだろう。

これから、よろしく　ボニー。

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